その中で、『多くの人が「おわび」を「お詑び」と書いてしまうが、正解は「お詫び」』という記述がありまして、「えーっ、そうなの?」とびっくり。
「詑」なんて字を書ける、というか、知っている人が、そんなに大勢いるのでしょうか。そもそも「詑」ってどーゆー意味?
講談社の『日本語大辞典』によりますと、「詑」は「タ」または「イ」と読み、意味は「あざむく、いつわる、だます」など。これを「お詫び」の代わりに使われたら、相手は怒りますよねえ(幸い相手も意味を知らない)。
ちなみに、手持ちの古い漢和辞典では特に説明はなく、「訑」と同じだそうです。「訑」も「あざむく、だます」というような意味です。
『日本語大辞典』で「訑」を探したら、見出しとしては載っておらず、「詫」の異体字とあります。へ? そりゃ「お詫び」ではありませぬか。
あらためて「詫」を見たら、その意味は「1:ほこる、おごる 2:あざむく、だます 3:かこつ、こぼす(愚痴を言う)」とあって、4番目にやっと「わびる、謝る」が出てくるのでした。
政治家や企業トップが「心からお詫び申し上げます」と頭を下げるシーンは、あまりに日常的で、すでに見飽きています。どの人も「心から」謝っている印象が全くなく、ただただ空疎で形式的なポーズに見えます。ケータイにストラップをつけるように、「お詫び」には「心から」を冠することが習慣化しているのです。
それもこれも、「詫」の本来の意味が「驕る、欺く、騙す」であると知れば、納得がいきますね。
おーっと。
何かと前置きが長いのが当ブログの性分(サービス精神旺盛?)。
本日の主役は「謎」でした。
その記事をよく読むと、常用漢字改定案には『「謎」の一点しんにゅうを許容する』という項目があるのです。これに私は、がびーんとショックを受けたのでした。
「謎」が二点しんにゅうだなんて、今まで知らなかった。
いや、そういうこと、考えてもみなかった。「謎」を手書きする機会などほとんどありませんが、さあ書けと言われたら、迷わず一点しんにゅうで書いたことでしょう。
ミステリ小説をよく読む私は、ことあるごとに「謎」という字を目にしています。なのに、じっくり見たことがなかったのです。
たまたま読みかけの本のサブタイトルが『謎』。表紙にでかでかとその字が記されています。確かに二点だあ。

一点しんにゅうが間違いというわけではありません。
現に私のパソコンでは、一点しか出ません。
アップにしますと 謎
Vista以降は二点に見えるという話も聞きましたが。
改定案が「一点を許容」と言ってるのは、パソコンで普及している既成事実への追随なのだとか。
現行の一点を同じコードで二点に変え、さらに一点も許容というややこしいことになるらしいです。
「謎」はポピュラーな漢字です。学校で習わない子どもでも、たいていが読めることでしょう。
字の形も、言+迷うで非常にわかりやすい。意味を知らない子も少ないはずです。なぞなぞのなぞですからね。
「なぞ」が訓読みだとはわかるけど、ならば音読みはなんだろ。
「迷」がついてるから「メイ」だとは想像がつきます。実際、その通りです。「ベイ」とも読みます。
では「メイ」または「ベイ」が含まれる熟語って、何か思い当たりますか? 辞書では見つかりません。
謎解き、謎めく、謎かけなど、日本では「なぞ」としか読まれる機会がないようです。
熟語を持たない漢字はけっこうありますが、これほどよく使われる字においては珍しいのではないかと思います。
「謎」は謎に包まれた孤高の漢字なのですね。

