2008年12月28日

寝乱れ百態

「いぎたない」という、やや古めかしい言葉があります。

なんだかとってもきたならしいイメージを持つ人がいるかもしれませんが、「ぐっすり眠っていてなかなか起きない」「寝坊である」という意味です。漢字で書くと、寝穢い。「穢い」は「汚い」と同じですが、汚さの程度がより激しい。
たかがねぼすけに「穢い」とは、あんまりじゃないですか。

ついでに、漢和辞典には「寝」は「容貌が醜い」「風采があがらない」ことを表わすとも載っています。たとえば「寝陋(しんろう)」は醜く卑しいこと。
となると「寝穢い」はいよいよ救いがたい言葉に見えてきちゃいます。

さて、「いぎたない」には「寝相が悪い」「寝姿がだらしない」という意味もあります。本来そっちが主だったのか、あるいは「きたない」の強さにつられて追加された意味なのか・・・前者のほうが妥当に見えますが、私は後者ではないかとにらんでおります。

子どものころ、休日に遅くまで寝ていると「目からナバが生えるぞ」と布団を引っ剥がされたものです。ナバとはキノコのことです。

毎年過酷な年貢を課せられていた農民は、朝早くから夜遅くまで働きづめの毎日でした。家族総出で長時間労働をしなければ生きてゆけない。長く眠ることはそれだけで罪悪。だから「汚い」と非難されるようになった。
・・・個人的説です。

「いぎたない」の反対語は「いざとい(寝聡い)」です。字面は賢そう。単に目が覚めやすいことです。

私自身はいざとくていぎたないタイプのようです。つまり、寝起きはいいけど寝相が悪い。特に夏場はどちらも顕著。いつかベッドから落っこちて頸の骨を折るに違いない。

「寝乱れ」には多少妖艶な連想も働きますが、一般に人は無防備な寝姿をさらしたくないものですよね。口をぽかんと開けたマヌケ面だったりよだれたらしたり、胸がはだけたり裾がめくれてるかもしれないし。

有栖川有栖の短編小説に出てきたとある老人は、自分の所有するアパートの天井裏から各部屋を覗き見し、住人の寝姿を「く」だの「大」だのと一文字で表現して悦に入っておりました。
くの字や大の字で寝る人は珍しくないでしょうが、じゃあ「太」はなんだ? 興味をお持ちのかたはぜひお読みください。でもタイトルは覚えていません。

トンデモ大家にならって自分の寝姿は何の字かなーとこじつけてみました。
シンプルなほうでは「つ」や「R」「欠」ときには「匕」。へ? ややこしくなると「支」「牙」・・・うーむ、わりといびつだ。脚だけなら「4」の字とか。
百態には程遠いですな。
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投稿者:ルノ 20:16 | コメント(2) | トラバ(0) | 辞書と戯れる
この記事へのコメント
お元気でしたかー、って、そうじゃ無かったんですねー。

私も年末近くになって、借金で首が回らなくなってしまって、
あ、いや、首の筋がおかしくなったのか、変な頭痛に参っています。(泣)
そろそろ年貢の納め時、お迎えが近いのかも・・・、
なんて言っている奴に限って、長生きする(?)。

また舌鋒鋭い記事を楽しみにしています、
ご無事で何より、良かった良かった。
池田さん  2008年12月28日 23:19
ありがとうございます。

年を取るとどこやらここやら不具合が出てくるものですね。いえ、池田さんのことではありません。
ともあれ、お互い用心しましょう。急病でもろくに診てもらえず、入院しても保険金不払いなどの憂き目に遭う時世ですから。

ここ数か月、ネットサーフィンもほとんどしていませんでしたが、これからは池田さんのサイトにもちょこちょこ寄らせてもらいたいと思います。
ルノさん  2008年12月30日 20:47
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