2009年09月29日

名刺の悲劇

会社勤めをしていたころ、上司とふたりであちこち銀行回りをした経験があります。
今でも銀行というところは強い影響力を持っていて、若造の行員が慇懃無礼な態度で年配の経営者を振り回していますが、バブルの残り火がぽよぽよくすぶっていたあの時代、しかもこちとら吹けば飛ぶよな弱小新興企業、そりゃ銀行様には頭が上がりません。銀行の担当者が黒を白と言えば、はい白ですとうなずかないと会社はつぶれるって感じでしたよ。

弱小なりに戦略を練ったのか、我が社では取引銀行の関連会社から定年退職した人を迎え入れ、銀行との折衝に当たらせることになったのです。それが私の上司です。
銀行回りは重要な業務であります。失敗は許されません。ならば経験豊富な元銀行マン(単なる関連会社社員やんかー)に社内きっての美人秘書をつけて好印象を与え、確実に成功を収めねばならぬ、と。

誰よ、美人秘書って。
まあまあ、過去のことだし個人ブログですから、多少の捏造、じゃなくて脚色は大目に見ましょう。秘書が不美人では話になんないしー。
とゆーか、あの会社に秘書という職があったなんて話は聞いたことないぞ。はは、大目に大目に。

あるとき、隣県の某地方銀行本店を訪ねました。移動は汽車(JR)です。
緊張のせいか、長時間揺られたせいか、虚弱体質のせいか、汽車から降りたころ私は気分が悪くなっていました。乗り物酔いみたいです。断じて二日酔いではありません。

やむを得ず、駅のトイレに入りまして・・・。
駅のトイレってほんと汚いのですよね。最近ではだいぶ改善されてきましたが、当時はもう・・・。和式だし、床はびしょびしょ、ペーパーはないし。
ともあれその汚い個室でかがみこんで、ちょっとオエッとしてしまったのです。
立ち上がろうとしたとたん、スーツの胸ポケットに入れておいた名刺入れがするりと・・・。あぎゃー。

取り急ぎ、その吐瀉物まみれの(ほとんどが胃液だったけど)名刺入れを素手で(当然)拾い上げて個室を出、水をかけて外側を洗い流しました。
名刺入れはいちおうブランド品で本革製でした。それがもったいないということより、中の名刺がどうなったかが一番の気がかり。出張中だから予備の名刺なんてないのです。

ティッシュで水気をふき取り、どうか中までしみていませんようにと祈りつつ開けたところ、十数枚入っていた名刺はすべて端っこが濡れていました。何がしみこんでいたのかは深く考えたくありませんが。
その端っこをティッシュで押さえたりしてどうにか目立たなくして、名刺入れにしまいこみました。じっとりした名刺入れをまたポケットに入れるのは非常に気持ち悪いけど、バッグに入れるのはもっといや。バッグは洗えないから。
第一、銀行の人と会うのに、裸の名刺を出すわけにもいきません。ここはもう口をぬぐって何気なさを押し通そう。そこでやっと思い出してうがいをしたのでした。

上司はずいぶん待たされてやきもきしていましたが、私の顔色があまりに悪いので、今から銀行に行けるかどうかを心配したほどでした。

そのあと銀行での会見は首尾よくいったかって? 詳細はよく覚えていませんが、開き直りが幸いして差し障りなく済んだようです。
美人秘書のかぐわしい名刺は、銀行の担当者の宝物となったことでしょう。わはは。

封印していたその思い出を突如蘇らせたのは、先日起きたある事件でした。
実家の母が携帯電話をトイレに落っことしたそうなんです。買い替えて、データも全部入れ直し。
あんな大きいものがぼちゃっと落ちれば、その時点で気づくものでしょ、普通は。1時間以上も放置して、あちこち探し回ったあげくやっと発見したとは・・・私が介護のために帰省する日はそう遠くないような。
投稿者:ルノ 23:17 | コメント(0) | トラバ(0) | 世相=世間相場?
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