2007年02月28日

敬語無用論

日本語の乱れでしばしば指摘されるのが、敬語がなってないってこと。若者ばかりにあらず。年配者だってひどいもんです。

私は敬語が嫌いで、さっさと消滅すべきだと考えているので、敬語の区分を細かくしようという動きには反対です。ただでさえごっちゃの現状なのに。残すなら丁寧語だけでじゅうぶん。

ごっちゃになってきた原因のひとつは、やけに敬語重視に進む世の動きであるようです。「長ければ長いほど丁寧」「重ねれば重ねるほど丁寧」という誤解が「させていただく」「おっしゃられる」「お乗りになられる」などのほとんど意味不明な多重敬語を生んでいるのです。
(そうやって丁寧化が進む反面、「やつ(奴)」という一種の罵倒語が一般代名詞化して上品げな人にも使われるという風潮はなんなんでしょうねえ。)

敬語重視の傾向は人間軽視と表裏一体に見えます。不祥事を口先で糊塗する企業屋や政治屋に食傷し麻痺したゆえの感想かもしれぬが。
敬語はそれを使うことで敬意がないことを隠す効果があると読んだことがあります。まこと至言です。

敬語がなくなれば、言いたいことをストレートに表現でき、ごまかしがきかなくなります。
ほとんどの外国語は敬語なしで通用します。しかし敬意を払うくらいできます。敬語は安易な手段なのです。

いくら私が要らんと叫んでも、たぶん敬語がなくなる日は来ないでしょう。ならば使うしかないか。

自分では丁寧語・尊敬語・謙譲語の区別くらいつくと思っていたのですが、突き詰めるとかなり怪しくなります。
用法そのものが揺れ動き、変遷し続けているのが現状です。

たとえば「申す」・・・。これは謙譲語との認識でした。
これを尊敬語と誤る例は数知れず。時代劇などでそのように使われているせいもあるのでしょう。
「荘重体」を兼ねているのです。荘重体って何よ? 重々しさを出す表現なのだとか。
最近ではわかりやすいように丁寧語と見なされています。「あなたが申したことにつきましては・・・」は敬意がないだけであって、失礼ではないということです。

「花に水をあげる」「犬に餌をあげる」「キャベツを冷やしてあげる」などにも抵抗はありますが、尊敬語の丁寧語化の一環で、やむを得ないのでしょう。
「花に水を差し上げる」はあんまりですが、それに類した表現は見過ごされています。
廃品回収の車が「ご家庭でご不要になられました家電製品を回収いたします」とアナウンスしているのは耳障りです。不要品を尊敬してどうすんだ。

人形をお買い上げいただいたお客様から「ご到着されました」というメールが届きました。到着したのは人形です。モノなんだから「ご到着された」はおかしいですね。
でも・・・感激しました。
人形の到着を喜ぶ気持ちがあふれていて、ついそういう表現になったのではないでしょうか。こんなかたに可愛がってもらえれば人形も幸せだと、ありがたく思いました。

それはそれとして、敬語が不要という意見は捨てません。
敬語がなければ日本人はもっと上手にコミュニケーションができるようになるはずだと考えます。
投稿者:ルノ 22:57 | コメント(2) | トラバ(0) | イチャモン日本語
この記事へのコメント
敬語が不要論、面白いですね。でも外国語でも敬語が無いわけじゃなく、一般に普段使わないだけなのでは?プルーストなどでも、老人が婉曲すぎる表現で相手に感謝を表したりして、まったく伝わらないエピソードなどが出てきますし、英語にしても、エディーマーフィーがスラムでしゃべる英語と、WASPがワシントンでしゃべる英語は同じ言葉と思えないほど違いがあるようですね。
微妙なニュアンスを伝えるため、又は伝えないためにも敬語があっても悪くないと思いますが、言葉ですから一人では使えません。古典の教育を強化して、色々な日本語が使い分けられる様になると面白いと思いますよ。 上古の平安貴族から、江戸の花魁の廓言葉まで、ちゃんと学校で教えてくれないかなぁ。
traviataさん  2007年05月03日 00:42
プルーストをお読みになるのですか。私はついに読む機会を逸したけど(この年ではもうダメです)、言葉の魅力に満ちているそうですね。
どの言語にも敬意表現はたくさんあり、慇懃無礼や侮蔑のこもった尊敬語もありましょう。でも日本語ほど極端ではなく、相手の地位や年齢によって差をつけることが少ないから気楽に見えます。
ただでさえ日本の子どもはゆとり教育や食の乱れで知能や学力が低下しつつあるのに、英語や敬語などよぶんなものを覚えなければならないとなると、ハンデが大きいような気がします。
ルノさん  2007年05月04日 22:55
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