2010年02月15日

スカートをはいたアダム

微妙に(いや明白に)下半身ネタの割合が高い当ブログでありまして、こうなってしまった以上、開き直るしかない。

シモネタなら、米原万里。
ここで取り上げるのは『ガセネッタ&シモネッタ』にあらず、『パンツの面目ふんどしの沽券』です。

一読して、これはすごい、今年最大の収穫だーと胸躍ったのでした。
2月からそんな断言していいのか? 実は読んだのは昨年末のこと。ブログで紹介しようと思いながら余裕がなく、今回再度借りてきて読みました。

内容は、下半身を覆う衣類(下着や肌着、ズボンにスカート)に関する歴史的文化的考察、といったところでしょうか。
著者はロシア語の通訳なので、こういうタイトルにもかかわらず、下着関連書だとは想像もせず、各国の文化的語学的差異に触れた内容だろうと、実際に読むまでは思い込んでいました。

文庫版の惹句には『抱腹絶倒&禁断のエッセイ』とあり、確かに、お食事前に読むのはおすすめしかねる部分もあります。
もっとも、心卑しい輩が下ネタのみを期待して読めば、その高邁さに肩すかしを食うでしょう。

「下着」は著者本人もライフワークとしたかったほどの奥深いテーマだそうです。本書は古今東西の膨大な文献をもとに、自らの幼児体験も踏まえながら、世界の下着の起源を解き明かそうと企図された、アカデミックな労作です。

世の中、下着のお世話になっていない人などほとんどいないし、下着に全く興味を持たない人はごくわずかでしょう。
しかし下着に関する本を積極的に読みたい人は、そう多くはないと思います。
私がこの本に強い思い入れを持ったのは、下着に深く関わったウェブライフを選択したという個人的事情も大きいのでして、その分過大評価しているかもしれません。

何しろ最初の章で現れるのが、ソビエトの小学校で教えていたパンツ(パンティ)の作り方図説。40年前、彼の国ではパンツなど市販されておらず、手作りしかすべがなかったのです。
そして『今現在の日本のパンツ着用人口の100パーセントが、既製品に甘んじていると思われる』と述べています。すると私は100パーセントの外か。

イエス・キリストが腰に着けている布はパンツなのかふんどしなのかという話もあり、私もイエス人形を作ったとき悩んだあげく、ふんどし形式にしたいきさつを思い出しました。
ターザンでも同様。腰布は英語でloinclothといいますが、イメージ検索しても形状はわかりにくいものでした。

バレエダンサードールを作ろうとしたきっかけは、王子様然とした白タイツへのロマンを抜きにしては語れません(むうんさんに画像面でご協力をいただいたのに、挫折しました)。

そのほか、日本人女性がトイレで水を余分に流すことへの疑問や、英語の単数・複数の謎など、共感項目がいろいろ。
ひとつにしか見えないpantiesが複数形なのはなぜだと、かつて英語版のウェブページに書いたところ、たくさんのご意見をいただいた経験もありました。

現代ではスカートをはく男性は異端視されていますが、スカートが女性の衣料とされたのは、『大多数の国々においては、ごく最近のこと』であるとの記述もあります。それまでは男女ともスカート様の巻き布が主流でした。スカートこそは服の基本なのです。
そしてまた、高々数十年前のソ連やヨーロッパでは、厳寒の時期でさえ女の子がズボンを穿くことを異常なまでに罪悪視する風潮があったとか。
「常識」なんてものは、ほんとうに移ろいやすく当てにならないものなんです。

第14章『イチジクの葉っぱはなぜ落ちなかったのか』と同じことを、私もスカートに始まるで言及しています。誰しも不思議に思うことですね。
その後何枚かつないでスカート状にしたのだろうと、私は単なる思いつきで書いたのですが、さすがプロの物書きは執筆姿勢が違います。聖書や関連書物などをあれこれ調べ、イチジクの葉は複数形となっており、スカートかエプロンふうであったと絞り込み、最終的にエプロンだったと結論づけています。
ただし、そこを読んだあとも、私としてはスカートが正しいと思いたいのです。エプロンだと、くるっと回って丸見えになっちゃったりしません?
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投稿者:ルノ 15:25 | コメント(0) | トラバ(0) | 下着・ファッション
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