2010年04月15日

躍るブーマー

ひところ流行した「スプーン曲げ」、あれはいったいなんだったんでしょうね。
始めは「超能力」だなんて言われていたみたいだけど、なんで「スプーン」なのかって疑問に思いませんでしたか。せっかく超能力らしくするなら、もっとありがたみを感じさせるものを選びなさいって。

全国で相当多数の人が曲げちゃって、つまりは誰でもできることらしいけど、私はそんなもったいないこと試す気にもなれませんでした。小さなスプーンをうっかりゴミといっしょに捨ててしまって悔やむほどのしまり屋ですもん。

だいぶ経って、ぶあつい電話帳を素手で裂くなんて話も聞きました(流行らなかったけど・・・スプーンと違って、一家に2冊くらいしかないから?)。これもコツさえつかめば非力な人でも簡単にできるとか。紙は縦に裂けやすいものですし。
今では電話帳も薄っぺらになって、裂いてもインパクトなし。そもそも電話帳自体、あまり見かけません。

もっと昔に流行ったらしいヘンなものに、「綿吹き病」があります。
怪我をした人の傷口から綿(脱脂綿)のようなものが次々と湧き出るという奇病。流行ったといっても、別に伝染病ではなく、全国で特に接触もない老若男女の間に散発的(?)に発生していたようです。

あまりに不思議な現象なので、高名な学者が調査を始めまして、その吹き出る綿らしきものを分析したら本物の植物性綿であったことや、患者の傷口を封印して本人に触らせないようにしたところ、綿の出が止まった・・・などの事実から、「詐病」であると結論づけています。

つまるところ、周囲を騒がせたい、注目を浴びたい、みたいな単純心理から、自分で綿をくっつけていただけの話。
なんの得になるのかわからないところが奇妙で、スプーン曲げから連鎖的に思い出してしまいました。

傷口の殺菌消毒を神経質に行う習慣もなかった時代です。包帯をはがしたら傷口に脱脂綿の切れ端がくっついているのを見て、これが増殖したら面白いな、なんて、コドモならなんとなく考えそうなことかも。

綿吹き病の話は、若いころ買って読んだわりと高価な法医学書に載っていました。索条痕の付き方や死後硬直の経過などと同列に、綿吹き病を大真面目に研究するなんて、のんきな時代、というか、ずいぶんヒマな学者もいたもんです。

現代はテレビやインターネットなどの情報網が発達して、何か面白そうなことがあると、ぱっと広まってあっという間に消えてしまいます。
綿吹き病のころはラジオくらいしかなくて、何事もスローに運んでいたので、じわじわと浸透して長く話題になる、一種の娯楽みたいなものだったのでしょうか。

連鎖がちょっと飛びますが、フィリピンなどで行われていた、メスを使わない心霊手術とかいうの、行って手術を受けた日本人もけっこういると聞きました。
これは全くの詐欺だから、まじめに取り上げたテレビ番組は罪深いと思うけど、「病は気から」で、ちゃんと治る人もいたのです。新興宗教と同じです(頼りすぎて本来の治療がおろそかになり、手遅れの人が出る点も)。

へんてこな流行りものに毒されないためには、情報を厳選する姿勢と能力が必要です。
しかし、自分の考えと意志をしっかり持っているつもりの人でも、実はそうではないということを、『脳は意外とおバカである』を読んで、つくづく感じたのでありました。
いやあ、私の脳は「意外と」どころではなく、「やっぱり」のようだけど。
投稿者:ルノ 22:28 | レトロ