2007年09月13日

コンテンツな話

インターネットというものが注目され、通信によるデータの行き来が盛んになると、「コンテンツ」という言葉があちこちで使われ始めました。
ウェブ上では「コンテンツ豊富なホームページ」とか「そのサイトにはどんなコンテンツがあるんですか」などと、普通に使われていますが、改めてコンテンツとはなんぞやと問うと、いくぶんおさまりの悪い言葉であるようです。

当初、マスメディアの注釈は「コンテンツとは情報の中身」でした。
「情報の中身」・・・なにそれ? 中身があるんなら「情報の外側」も存在するんだよね?
ちらと調べたら、外側とは入れ物(気取っていえば媒体・・・情報を記録したり記憶させておく物品や場所)を指すようです。

Contentという名詞はcontain(含む、収容する)という動詞から来ています。輸送に使われるコンテナ(container)は容器のことです。ウェブマスターの皆さんは、レイアウトコンテナ(div)でお馴染みですね。
何物であれ、中身だけの存在は不安定なので、容器はあれば便利、時には必須と思われます。

パソコンを指して「あれは情報だ」と言う人はいないでしょう。
メモリーカードを「これが情報だよ」と渡されたら、その中に情報が入っていることは推定可能としても、カードそのものを情報と見なすのはなんとなく変ですね。

「情報」なんて、初めっから「中身」じゃないか。

そもそも「コンテンツ」を説明するのに「情報」を付与した点に偏りが生じたような気がします。それゆえ「情報の中身」なる奇妙な表現は数年で影を潜めたのでしょう。
中身のない状態をcontent-freeといいます。空っぽの容器なら何かを詰めて再利用できるので捨てるには及ばないけど、空っぽの情報に存在価値はありません。

ならば、情報とは何?
情報をひとことで表わすのは難しいのですが、一種の知識です。「知識」というと何やら知的で立派なものを想像しますが、情報は知識になる一歩手前の材料といったところです。
主に特定の事柄に関するおしらせ・・・どちらかといえば実利的で、片方向のイメージがあります。
情報の命は正確であること。情報というものに、美的、創造的、芸術的な要素は薄いといえましょう。

とある文学作品を読み、人生の意義について深い洞察を学んだとしましょう。何かを教えてくれたんだから、その文学は情報でしょうか。まさか。やはり芸術と呼びたいものです。
文学同様に活字が並んだものを読み、人生の意義を深く考えさせられたとして、それがニュースなら、情報に過ぎません。
別に文学は高尚で情報は低劣だと断ずるつもりは毛頭ありません。貴重な情報もクソ文学も山ほど転がっています。何かの価値を決めるのは利用者個人個人です。(えーと、我がブログは正確さに欠けるので、情報ではなくゲージュツですな。)

さて、コンテンツに戻ります。
コンテンツは「中身」です。容器、外観、形式や様式など、表面に現れたものに対する内容物ということです。目に見えるものだけに限りません。言葉の奥に潜む真意なども指します。コンテンツは情報だけではないのです。中身のあるものなら、物質もデータも芸術も哲学も含みます。

インターネット以前に私が知っていたcontentsの意味は「目次」でした。
初期のハイパーテクストTowns Gear君が「コンテンツは目次だよ」と教えてくれたのを、そのまま覚え込んでいたのです。

目次・・・それこそ「中身」とは対極に位置する、いわば「情報の外側」じゃありません?

辞書でcontentを引くと、「内容物、中身、書物などの記事、目次、内容目録」云々・・・。
内容を説明した見出しを並べたものが目次です。中身と目次が並列に扱われることには首を傾げました。
正式にはtable of contents(内容一覧)とされていたものが、上を省略してcontentsだけで一覧を意味するようになったようです。

名は体を表わす。形式は一見表面的でも、中身を指し示すことで中身も同然と見なされるのは、ある意味お約束なのでしょうね。
箱に「牛肉」のラベルがあれば、牛肉として取り扱わないと、物流は混乱し停滞します。ずるをして豚肉を詰めておいた業者は、いずれ信用を失って消滅します(希望的観測)。

ウェブにも目次(コンテンツ)だけは立派に整えられていても、いざページに飛んだら内容(コンテンツ)はお粗末きわまるというケースがまま見られます。それでは訪問者の満足を得られず、衰退してしまいますよ。
そうなんです、contentには満足という意味もあるのです。調べるほどに深みの出る言葉といえましょう。
投稿者:ルノ 23:27 | コメント(0) | トラバ(0) | 英語・英文・英会話
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