2013年08月02日

小さな居候

もし私たちの拡大視力が顕微鏡並みになったとしたら・・・これは恐怖です。
なにしろ、空中を漂う塵埃やカビ胞子やダニのフン、畳やじゅうたんの上をうごめくダニたち、飲み物に浮遊する異物などが、バッチリ見えてしまうんですから。キスをしようと恋人の顔に唇を近づけたら、小鼻の毛穴からニキビダニさんがコンニチワしていたり。

まあ人生、見えないほうが幸せなのは、ミクロの物体ばかりとは限りませんけどね。

見えていてもいなくても、ヤツラは確然とそこにいる。
普通の免疫力を持つ人なら、それらを吸い込み、飲み食いし、四六時中肌にまとわせて、いっこうに問題はありません。

科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体』は、昨今個人的に注視しているサイトです。
科学的根拠ってそもそもなんなのか、科学的根拠に基づけばどんないいことがあるのか、シロートのわたくしにはよくわかりませんが、厳しくも真摯な姿勢のサイトのように思います。

そこでひところ読者の興味をひいていたのが『ヤマザキパンはなぜカビないか』に関する一連の記事です。
読んでみたいかたは、トップページのランキングになければ、過去ログからお探しください。

衝撃的だったのは、ヤマザキパンがどうのではなく、パンの表面に肉眼でごく小さなカビを認めた時点で、すでにそのパンはカビで覆いつくされているということです。むろんパンに限りません。
考えたら、そうですよねえ。カビの胞子なんて目に見えるもんじゃなし。見えたとしたら相当成長しているはず。

年配の人は「餅にカビがはえるのは当たり前」「そうめんのカビなら大丈夫」などと根拠のないことを言って平気で食べます。カビを食べることが病気や不調に直接つながったケースがないという経験的事実に基づく判断であるからして、「根拠がない」は酷評ですが、現代医学は微量の毒物が長期間蓄積されて起きる害も解き明かそうとしているから、見えるほどになったカビを摂取し続けるのは危ないと心得ておくべきでしょう。

などと考えていた矢先、ふと目についた1冊の本。
人類とカビの歴史』(浜田信夫/朝日新聞出版)

なんだか地味というか、お堅いというか、学術的というか、大仰というか、「せっかく著したからにはじゃんじゃか売ってやろう」てな意欲などまるでなさそうなタイトル。ジャンルがジャンルだから、致し方ないでしょう。
でも内容は身近でわかりやすく、カビに関する実用的知識が得られて、ためになります。じゃんじゃか売れてもいい本です。と、強力におススメ。
石けんカスにカビは生えないけど、界面活性剤を栄養にするカビはいるとか、食器洗い機の中でもカビが繁殖するなど、意外な事実も。食器洗い機の高温にも耐えるカビは体内に入り込んで真菌症を引き起こす恐れがあるとかで、要注意です。

こういう本、清潔に暮らしているという自信をお持ちのかたは読まないほうが無難です。ショックを受けるから。

私なんか、慌てて洗濯機を買い替えましたよ。
それだってほんの気休め。新しい洗濯機も、古い洗濯機で洗った衣類からカビが伝染して、あっという間にカビだらけになるそうです。とりわけ、今主流の乾燥機能つきがヤバいのだと。

そうやってカビだカビだと大騒ぎして忌避しても、完全にのがれられるものではないし、長年カビと暮らしてきてなんらかの健康被害を受けたわけでも(自覚的には)ないのだから、あきらめて共存していくのが賢明なのでしょうね。

家の中にはもっと大きな居候たちがいます。

わが家の虫図鑑』(トンボ出版)は、表紙から想像できるように、なんとも美しい本です。オールカラーだしぃ。
脚の数・ハネの数、それに居場所で分類されています。虫を見つけたら、脚と翅を数えて図鑑をひくわけですね。ダニの脚なんて肉眼で数えるのは無理だけど、蜘蛛と同じく8本。

家に虫が入り込むのは、なにも人間に悪意を持ってのことではなく、人間が彼らの好きなものをいーっぱい用意してくれているから。しかし人間としては、食べ物や服や本や床や血を、ほんのひとかけらだって分け与えたり共有するのはゴメンこうむる。結果として、家の中のほとんどすべての虫は害虫です。
心なごむのは、ごくたまに庭に飛んでくるナナホシテントウくらいか。

わが家にはクモがけっこういるんです(たぶんハエトリグモ)。体長3ミリから8ミリくらい、網を張らず壁を這い回っていますが、別に嫌いじゃないから、追い出したり掃除機で吸ったりなんかしません。「クモさん、クモさん、家賃代わりにコバエ取ってよね」と言い聞かせているけど、やっぱ日本語じゃダメかな。

蚊が入り込むのは年に1度あるかないかだけど、コバエは時たま見かけます。キッチンの壁にとまっているのを見つけたら、濡れ雑巾で押さえようとしますが、私がとろいのか、ハエが素早いのか、両方なのか、3回に2回は取り逃がします。逃げたヤツもいつしかいなくなります。屋外へ脱出したのか、クモの餌食となったのかは不明。

本の中にごくごく小さな虫が這っているのもよく見ます。探せば家じゅうにいそうな気がする。
胡蝶蘭の鉢に長年巣食っていた、白い粉のような虫は、殺虫剤をバンバンかけてやっつけたのですが、その影響か葉っぱが3枚も黄変して枯れかけています。虫がいたころのほうが成長がよかったような・・・(T_T)。

買ってきた野菜にも・・・特にキャベツ。青虫なら愛嬌あるけど、外葉を数枚はいでも見つかる1ミリ足らずの黒い虫は、なんなのかよくわからないからブキミ。見つけたら、60℃くらいのお湯に丸ごと浸したり、奥まではいで煮込みに使ったりしますが、胃の中に入ってしまうのもいるでしょうねえ。

この図鑑のコラムにも『われわれは小さな虫やその破片を見過ごして食べていると想像できる』と書かれています。昆虫研究者なんて浮世離れした優雅なショーバイって印象だけど、食品異物検査という実務もこなしているんです。

例の「お好み焼き粉ダニ事件」は強烈でしたが、人は多かれ少なかれ虫を食べて生きているんだと思います。虫たちよ、食べられたくなければ、森や野原でひっそり暮らしなさい。
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投稿者:ルノ 10:13 | コメント(0) | トラバ(0) | 虫のいい話
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