2007年12月31日

酒は憂いの

「玉箒」とは、お正月に養蚕室を掃除するほうきだったとか。実物がどんなものか知りませんが、美しいものに「玉」をつけるのが日本語の流儀ですから、実用品ではなく行事用の装飾的なものだと想像します。

人の世の憂さを払ってくれると称えられる酒ですが、その効力がほんの一時的だとは、どなたも経験的にご存知ですよね。
いくら酒をかっくらったってなんの解決にも手助けにもなりません。酔いが醒めてみれば、玉箒で掃き捨てたはずの憂いが倍になって戻ってきているのに気づくのが常です。
酒呑んでいいことなんか何もないでしょ。不味いしカロリー高いし金かかるし体きついし服に匂いがつくししばしば恥かくし人に迷惑かけるし後悔のタネだし。

酔っ払って眠り込み、気がつけば病院や留置場だったり、財布を盗られていたり。ついに酔いが醒めず、おらは死んじまっただぁになっちゃう人も。
自分が死ぬんなら自業自得で済むけれど、酒酔い運転で人を死なせてしまえばすまんじゃ済まぬ。もっとも現実には刑も軽いし、出所後は賠償もそっちのけでのうのうと生きている人が大半のようです。被害者やその遺族はたまりませんよ。

飲酒運転をする人の多くがアルコール依存症だとか。依存症は病気であり、罹患者は平常から判断力がなく、罪の意識も生じません。飲んでいないときは一見常人なので野放しの現状です。

どうして人間は酒を飲むのでしょう。どうしてそんなに酒が好きなんでしょう。
この世から酒というものが消滅してもいっこうにかまわない私は理解に苦しみます。

酒飲みが幅を利かす社会において、飲める連中の横暴に泣かされているのは、体質的に酒を飲めない人々です。
契約獲得や上司へのおべんちゃらのため酒席にはべることを余儀なくされ、望まぬ宴会や飲み会に駆り出され、付き合いだからと割勘で不当な出費を強いられ、酔いつぶれた同僚を介抱するはめになり、どうかしたらイッキ飲みを強要されて急性アルコール中毒でぶっ倒れたり。

酒は人間関係の潤滑油などではありません。人の和という美名のもと集団行動を重んずる日本社会は、とりわけ下戸に過酷なしくみになっております。
日本人にはアセトアルデヒドを分解する能力が低い体質の人が多いのです。DNAがそうなっているのであって、努力や特訓でどうにかなるものではありません。そもそも酒を飲めない人がなぜに不要な努力を強いられなければならないのか。酒を飲める人々こそ努力して飲めないようになるべきだ。

アメリカが禁酒法を上手に続行していたら、なんせあの国のこと、日本を始め世界中にそれを強要したに違いないので、人間社会はどんなに安らかだったことか。

今からでも遅くない。せめて酒税を大幅アップしよう。大幅? うーん、現行の20倍くらい。
賢明な人は節酒もしくは断酒するかもしれないが、値段が上がっても飲む人は飲む。飲み続ける人は生活苦と健康苦から早死にし、酒に飲まれない人々のみが生き残ります。一種のふるいです。
破綻しかかっている日本経済は速やかに立ち直るでしょう。酒源病の減少で医療費が抑制され、酔っ払いの世話をする必要のなくなったお巡りさんは交通違反の取り締まりに精を出してじゃんじゃか罰金を取り立てて、国庫を豊かにする。アルコール飲料の売上は全体として減少するとしても、補って余りあるだけの税率アップで国はお金持ちー。

そんな無茶な、って?
そもそも国家の義務は、庶民の楽しみにつけこんで、取れるところ、取り易いところから税を搾り取ることです。明治時代にはウサギ税があったそうだし、トランプ税は平成まで続いたし。
酒とタバコは天井知らずに上げてよし。

と、酒に恨みがあるかのような攻撃を仕掛ける私は、別に下戸ではありません。
それどころか無類の酒好きと思われていた時代があったことは知る人のみ知る。
今だってチャンスがあればいくらでも飲めると思うんだけど、気乗りしません。どうせ代謝と時間を無駄遣いするのなら、チョコ食ってヒルネしたほうがなんぼかまし。

かつてのノンベエがすっぱり酒を断ち切ったのは、いかなるテクニックによるのか。それはもう血のにじむような苦難の道のりでした。って、まさかね。意志が強いだけですよ。って、それもウソ。ほんとに意思強固ならお菓子をすっぱりやめてみろってんだ。

私が酒に溺れず己をコントロールできたのは、酒に対する姿勢が終始一貫していたからです。
酒飲みのころからふたつのルールを定めていました。参考にならないとは思うけど、禁酒を考えている人は真似していいですよー。
その1:ひとりで飲まない。その2:自分の金で飲まない。
両者は密接に関連しています。1はほぼ完璧に守れたようです。2のほうはやや難しいものの、我が体内を通過したアルコールの9割以上が他人酒、タダ酒、たかり酒であるのは事実です。

依存症になりやすい最悪の飲み方は、自分の家でひとりきりで飲むことです。自分の金で買った酒なら、誰も文句をつけることができません。
主婦が昼間っから酒に手を出せば、歯止めがかからなくなります。むしろ不倫でもしてボーイフレンドにおごらせるのがキッチンドリンカーへの転落を避ける道です。

飲むときは必ず誰かといっしょ。そう決めておけば、度を過ごすことも減ります。
酒好きとの評判ゆえかお歳暮に一升瓶の清酒をもらったことがありまして、ちょっと困惑。家に酒があってもしかたないのよね。で、お風呂にドボドボ。1回に一升じゃ物足りないかな。

タダ酒は難しいって?
人におごらせるだけがタダ酒ではありません。立場にもよりますが、打ち上げや懇親会、交際費で落とせる会合など、勤め人ならたいていチャンスがあるものでしょう。そういうときに飲み溜めしちゃうんです。自腹は切らぬをモットーにアンテナをめぐらせれば、なんだかんだと舞い込みます。

私など酔うと楽しい人なので、玉山崩るの期待もあいまって、飲ませたがる人は引きも切らず、整理券を配るほどでした(すでに酔っ払ってるみたいな書きぶりだな)。おごってもらうときに大切な心構えは「感謝」ではなく「傲慢」です。私がお酒をたしなむ姿は大金を投じてまで見る値打ちがあるんだ、と。そう信じなければ続きませんよ。

人の金で飲むには限界があります。結局のところ、私が完全に酒断ちしたのは、引きこもって実社会と縁を切り、飲ませてくれる人々がいなくなったからなのでした。

真に酒が好きな人には実践できないでしょうね。
でも、好きだと思い込んでいる人も、煎じ詰めればほんとうに好きなんでしょうか。酒に好かれているだけじゃないんでしょうか。
しらふのときにシビアに検討すると、お金を払って飲むほどのものではないとわかるはずなんですけどねえ。わからないとしたらすでに依存症です。

先ほど酒税上げろと書きましたが、実のところ、そんなのどうでもいいんです。
私が望むのは「甘いもの税」です。なかんずくチョコレート、クッキー、ケーキ、アイスクリーム、大福餅には特別加算税を。これらの価格が今の20倍にもなれば、たやすくほっそり体型が得られるはずなのに・・・。
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投稿者:ルノ 00:19 | コメント(6) | トラバ(0) | 美容と健康
この記事へのコメント
ルノさんこんにちは!

今年最後の投稿(かな?)もルノさん節が絶好調で楽しく拝見させて頂きました。

最近のんべえさん達は外で気軽に飲めなくなっているのではないかと思います。飲酒運転取締りの強化で。

お酒は、適量を守れば体に良いという説もあります。しかし毎日浴びるほど飲んでは駄目ですね。「適量」のつもりが段々飲む量が増えてしまうのでしょうか?

私自身は普段、全くアルコールを飲まなくても生活できます…というより、好きではありませんから、自分から手を出すということはありません。付き合い程度なら飲めますが、それも好んで出かけませんね(汗)。

飲む機会といえば、年始とお盆に嫁の実家でお父さんと飲む程度。これだけで十分です(笑)。お安い体質?

>チョコレート、クッキー、ケーキ、アイスクリーム、大福餅には特別加算税
これらの増税は私の懐に大打撃を与えること、間違いないでしょう…困ったなぁ(爆笑)。

あぁ!2月からでしたが、ルノさんのブログでいろいろとお世話になりまして誠に有難うございました!!

来年もどうぞ宜しくお願い致します!
shibaさん  2007年12月31日 19:52
こんにちは。いつもお気遣いいただきありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

家計に打撃でも買うほどの甘党なんですね。お酒に関しては、shibaさんのように、飲めるけど飲まずにいられるタイプがいちばん有利だと思います。

交通事故死も飲酒運転も、件数としては確かに減少しつつありますが、被害者の身になってみれば、自分の苦しみは何百件、何千件のうちの1件ではなく、一生に1件の出来事です。世の中でいくら減ったところで、気持ちはおさまらないでしょう。国は本腰入れて依存症対策を行う必要があります。
ルノさん  2008年01月02日 22:32
ルノさん、こんにちは!

>家計に打撃でも買うほどの甘党なんですね。
ぎゃははっ!そう、甘党なんです(笑)。ですから逆に激辛とかは全く駄目です。アルコールを自分から飲まないのは、ここらに原因があるかもしれませんね。

飲酒運転は確信犯ですので、厳罰に処すべきです。しかし「罰が重いからやめる」では人間としていかがなものか?とも思いますが、被害者を減らす方が優先ですからね。

>国は本腰入れて依存症対策を行う必要があります。
そうですね!その他「銃」「たばこ」「違法な薬物等」…探せばいっぱいありそうですよ(汗)。こまったものですね〜まったく。
shibaさん  2008年01月03日 08:32
こんにちは。
いやあ、私も甘党でして・・・悩みの種です。以前は激辛も大好きだったんですけど、このごろは敬遠しています。甘いものへの欲求は人間が効率的に生命を維持するための基本だと思います。その点アルコールは本能に反する成分のはずですけどねえ。

> しかし「罰が重いからやめる」では人間としていかがなものか?
全くその通りです。十数年間教育を受け、さらに社会で経験を積んだいい大人が、自分で善悪の判断もできないなんて、幼稚園児以下、いや、犬猫にも劣ります。あるいは社会経験というものは人に法律をくぐり抜ける方法を身につけさせるようになっているのでしょうか。
ルノさん  2008年01月09日 23:13
ルノさん、毎度こんにちは!

なるほどぉ、ルノさんも甘党ですか!そうしますと「甘いもの税」が導入されますと一方ではさみしく、一方ではスリム…となりますか?(笑)

チョコ、ケーキ、アイスクリームはいいですね!その中でもいちごショートケーキは最高ですね。(笑)この前クリスマスで食べましたが、今度は子供の誕生日で近々食べれるかも?

その逆に辛いものは全く駄目です。味わう余裕などなく、口から火を吹きそうです。(汗)

>社会経験というものは人に法律をくぐり抜ける方法を身につけさせるようになっているのでしょうか。
おぉ、鋭い!流石はルノさんです!!法律さえ守ればそれでいいかといえばそれは間違いですね。モラルあっての法律だと思うのですが…ねぇ!
shibaさん  2008年01月18日 23:36
こんにちは。甘党は正気のままハッピーになれるし、酒飲みほどお金を使わないし、健康への影響もアルコールよりは軽いけど、美容上は問題ですねえ。やせの大食いがうらやましい。
お子さんの存在はある意味セーブにつながると思います。親って自分は我慢しても子どもに食べさせたいものですから。その点ひとりだと誰も制止してくれず、とめどもなくむさぼってしまうからコワい・・・。
ルノさん  2008年01月21日 22:22
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