2010年02月16日

ひがみ根性

一姫二太郎の起源がいつごろか知りませんが、子沢山だった明治時代よりは新しいのではないでしょうか。あるいは、何人産むにしても、一番目は娘、次に息子が良いということかもしれません。
最初に生まれたのが男の子(跡継ぎ)でないことにがっかりしている人を慰めるために言われ始めたとも聞きます。
実務上も女の子は育てやすいから、まずは育児の練習台。育て慣れて稼ぎも増えたころ、本番に着手という算段であります。

二夫にまみえずが貞女の条件で、寡婦の再婚にはいろいろと障害がありました。
昔の中国では、夫が死んだら妻や次号を殉死させるケースも。「結草」という成句の背景にはそのような事実があります。
貞婦、節婦、烈女も貞女と同様の意味です。両夫を並べずとか、二夫を更(か)えずなどの言い方もあります。

三界に家なしの宿命を持つのが女性という存在。貞婦でなくとも生きづらいことに変わりはありません。

四徳は、婦人が修養実行すべき4つの道。言・徳・容・功。
功(わざ)は料理や裁縫でしょうか。
容はお化粧。女性の見た目は非常に重要です。玉の輿に乗れれば、一族が繁栄します。その期待から、女の子=門楣なのです。

五不取(ごふしゅ)。こんな家の娘は嫁にしてはいけないのです。
謀反人を出した家、家庭の乱れている家、代々罪人のある家、悪質の遺伝病、父を失った長女。

六親はいっさいの血族のこと。
管子では、父・母・兄・弟・妻・子。姉妹は含まれないんですね。嫁に行っちゃうからでしょうか。
老子だと、父・子・兄・弟・夫・婦。えっ、母もつまはじき?

七去は、妻を離縁する7つの条件。儒教の教えです。
男子を産まない、浮気する、姑に逆らう、おしゃべり、盗癖、やきもち焼き、不治の病気。ひとつでも該当すれば追ん出されるそうな。

八八(はちはち)は、かけて六十四。瓜という字を分けるとふたつの八になる(そうは見えないけどね)ことから「破瓜」ともいいます。
同じ破瓜でも、男子は64歳、女子は8+8で16歳のことです。男でない64歳はババアであって女ではないんですね。

九族とは9つの親族です。自分を真ん中に直系9段階を指すこともあれば、父の族4、母の族3、妻の族2を合わせたものという説も。父母の差1は誰でしょう。
スポンサーリンク
投稿者:ルノ 10:21 | コメント(0) | トラバ(0) | 辞書と戯れる
2009年07月31日

島の陥穽

紙の辞書がオンラインに比べておもしろい点は、近隣の無関係な項目まで目に入ってしまうことです。そこから思わぬ方向へ興味が広がったり、どうでもいいような知識を得たりすることがあります。さらにはどうでもいいようなブログのネタとなるのです。

ソファに座って英和辞典を見ていたとき、ふと「島嶼性の鳥」という文に目が留まりました。島嶼(とうしょ)ってなんだ?
季節の渡りをせず、島に居ついて暮らしている鳥のことだろうと見当をつけたのですが、確認が取れません。

立ち上がって2歩歩けば国語辞典か漢和辞典に手が届くのですが、それが面倒だったんですよね。
ああ、このものぐさ精神が体脂肪増量と脳細胞減少の元凶だっ。

でもですねー、英和辞典で日本語を調べるのも、案外頭の体操になるんじゃないでしょうか。

島嶼は島に関係した言葉だから、アイランド付近をつぶさに見ていけば、片鱗が現れるはずと思ったのです。
だからiをめくって・・・あれ? アイランドがない。なぜだっ。
必死で探したけど、ほんと載ってないんです。ひょっとして落丁かしら、まさかそんなと、数秒間混乱してしまいました。

いやー、お恥ずかしい。
私が開いていたのは、il...のあたりでした。なんかおツムがillっぽい。

今そこで嘲笑ったあなた、こーゆーのは平均的日本人がよく陥る誤りに過ぎませんよ。きっとあなただって似たようなことを・・・。
islandという単語を見ればアイランドとちゃんと読める人でも、いきなり書こうとすると、ilandといった並びが頭に浮かぶものじゃありません?

無音の子音がやたら多いフランス語などと違って、英語は比較的発音通りにつづります。nightのghやwalkのlみたいに慣れっこになったものに比べたら、islandは例外的ですから、bomberをボンバーと読む日本人ならアイスランドと読んじゃっても不思議はないかも。

おお、それで島嶼はどうなったんだ。

実はislandはもとilandだったそうで、isle(小島という意味でアイルと発音)からの連想でいつの間にかsが挿入されたのだとか。isleはどこから来たかというと、insulaという古いフランス語。
そういえば私たちの体内にも島があります。膵臓のランゲルハンス島。そこで作られるインシュリンはinsulaが語源だったのですね。ふむふむ、島育ちのインシュリンちゃん。

その関係で、islandの形容詞形はinsularなのです。こんなにかけ離れていると探しにくくて困ります。
insularの近くにあるinsularityという単語に、やっと「島であること」「島嶼性」という和訳が出てきました。なお、insularityには島国根性、偏狭などの意味もあります。

でも英和辞典では結局ここまででした。

あきらめて、日本語辞書で仕上げ。
「島嶼」の「島」は大きな島、「嶼」は小さな島という意味で、島嶼は大小の島々、ひいては単に島々ってことだそうです。
山+与=小さな島って、どういうわけなんでしょうね。
スポンサーリンク
投稿者:ルノ 23:43 | コメント(0) | トラバ(0) | 辞書と戯れる
2008年12月28日

寝乱れ百態

「いぎたない」という、やや古めかしい言葉があります。

なんだかとってもきたならしいイメージを持つ人がいるかもしれませんが、「ぐっすり眠っていてなかなか起きない」「寝坊である」という意味です。漢字で書くと、寝穢い。「穢い」は「汚い」と同じですが、汚さの程度がより激しい。
たかがねぼすけに「穢い」とは、あんまりじゃないですか。

ついでに、漢和辞典には「寝」は「容貌が醜い」「風采があがらない」ことを表わすとも載っています。たとえば「寝陋(しんろう)」は醜く卑しいこと。
となると「寝穢い」はいよいよ救いがたい言葉に見えてきちゃいます。

さて、「いぎたない」には「寝相が悪い」「寝姿がだらしない」という意味もあります。本来そっちが主だったのか、あるいは「きたない」の強さにつられて追加された意味なのか・・・前者のほうが妥当に見えますが、私は後者ではないかとにらんでおります。

子どものころ、休日に遅くまで寝ていると「目からナバが生えるぞ」と布団を引っ剥がされたものです。ナバとはキノコのことです。

毎年過酷な年貢を課せられていた農民は、朝早くから夜遅くまで働きづめの毎日でした。家族総出で長時間労働をしなければ生きてゆけない。長く眠ることはそれだけで罪悪。だから「汚い」と非難されるようになった。
・・・個人的説です。

「いぎたない」の反対語は「いざとい(寝聡い)」です。字面は賢そう。単に目が覚めやすいことです。

私自身はいざとくていぎたないタイプのようです。つまり、寝起きはいいけど寝相が悪い。特に夏場はどちらも顕著。いつかベッドから落っこちて頸の骨を折るに違いない。

「寝乱れ」には多少妖艶な連想も働きますが、一般に人は無防備な寝姿をさらしたくないものですよね。口をぽかんと開けたマヌケ面だったりよだれたらしたり、胸がはだけたり裾がめくれてるかもしれないし。

有栖川有栖の短編小説に出てきたとある老人は、自分の所有するアパートの天井裏から各部屋を覗き見し、住人の寝姿を「く」だの「大」だのと一文字で表現して悦に入っておりました。
くの字や大の字で寝る人は珍しくないでしょうが、じゃあ「太」はなんだ? 興味をお持ちのかたはぜひお読みください。でもタイトルは覚えていません。

トンデモ大家にならって自分の寝姿は何の字かなーとこじつけてみました。
シンプルなほうでは「つ」や「R」「欠」ときには「匕」。へ? ややこしくなると「支」「牙」・・・うーむ、わりといびつだ。脚だけなら「4」の字とか。
百態には程遠いですな。
スポンサーリンク
投稿者:ルノ 20:16 | コメント(2) | トラバ(0) | 辞書と戯れる