2009年08月31日

異世界への扉

だいぶ前のこと、そのころ購読していた新聞が、低俗で扇情的な週刊誌の広告掲載を取りやめる方針を打ち出しました。
良識的な読者からはおおむね歓迎されていたようですが、猟奇的な、いや両極的な私はちょっぴり落胆しました。

テレビも週刊誌も見ない深窓の純情乙女にとって、それら広告は現実世界を垣間見る数少ないチャンスだったのです。
実際の記事はたいした内容ではないのでしょうが、広告には想像力をかきたてられそうな言葉や文章が賑々しく並んでいるじゃないですか。

広告というものは、とにかく人目を引こう、興味を持たせようと、プロのコピーライターがおつむを絞って文面考えます。強烈さも必要ですが、ぱっと見て即座に意味を把握できるよう簡潔でなければなりません。しかももっと詳しく知りたい気分にさせなきゃ意味がない。
じっくり見ているとなかなか勉強になります。

ずいぶん昔のことですが、うちのサイトの掲示板に「何度申請してもダメだから、ヤフーカテゴリ登録はあきらめた」と書き込んだ人がいました。
その人のサイトを拝見したところ、内容はいいのにたいそう地味な印象だったのです。

そこで、各ページ(コンテンツ)のタイトルを変えるように勧めてみました。スポーツ新聞の見出しふうにアレンジしたり、人気テレビ番組やベストセラー本のタイトルをパロったり、とにかく目立つようなそそりそうなタイトルにしてみましょうと、いろいろ事例を挙げました。
わらにもすがる思いだったのか、その人は律儀に実行しまして、結局中身はほとんど変わっていないのに、みごとヤフー登録を果たしたのでありました(タイトルのおかげとは限りませんが)。

アクセスが少なくて悩んでいる人は、まず外側から変えてみるのも一方法ですよ。
私も以前はけっこう派手な見出しやタイトルを考えたものです。その後SEOなる概念が出現して、だいぶまっとうになりました。地味でもページ内容をそのまま反映している語句を使うほうが効果がある(に違いない)からです。
でもロボットにこびるよりは生身の読者にアピールするほうが人間的だし、残す印象も強いのでは? むろん羊頭狗肉で中身が薄ければ逆効果ですが。

おっと、閑話休題。

サザエさんにこんな話がありました。
美容院に行ったのにマスオさんがちっとも気づいてくれないので、サザエさんはあきらめて芸能人のゴシップなどをあれこれ話し始めました。そしたら急にマスオさんはサザエさんが美容院に行ったことに気づいたのです。

サザエさんも私と同じく品行方正なのですねえ。週刊誌を読む機会は美容院くらいに限られているのですから。

私が若いころ、『微笑』という女性週刊誌がありました。
これがもう、ものすごい内容らしいのです、新聞広告によれば。カレヲヨロコバセルテクニックとかタイイシュウとか、毎回ぎっしりと刺激的な実用記事が特集されていて、一度読んでみたいと心ひそかに思っていました。だけど買うのは恥ずかしいし、立ち読みはもっと恥ずかしい。本屋で視線を投げるのさえ憚られるといったありさま。純情乙女って生きづらいものですわ。

とある美容院でパーマをかけていたときのこと。
パーマって時間かかるから、気の利いた店員さんは、椅子を移動するたびに週刊誌をどさっと補充してくれます。その中に微笑があったのです。いや、中ではなく、一番上に堂々と。わざと置いたんじゃないかとかんぐったほどです。
念願かなってついに読める〜。と胸躍ったのですが、結局表紙を眺めただけでした。新装の順序魚留めですもの。

今ではどんな内容の本でも人前でヘーキで読める度胸がつきましたけど(単にオバン化しただけやんか)、時遅し、微笑はすでに廃刊のようです。
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投稿者:ルノ 23:27 | コメント(2) | トラバ(0) | レトロ
2009年01月16日

別の辞

昨年隣国で大きな地震が起きたとき、ちらっと思いました。四川省なんて知らねえや、成都ったら益州の州都だろもん。
私はそんな人間なのです。

日本人はほんと『三国志』が好きですねえ。
文芸、マンガ、アニメ、ゲーム、ドラマや映画・・・三国志を下敷きにした作品が今でも次々と生まれています。作ればそこそこ当たるという安定感で、不況時には救いの神?
こんなにマニアが多いんだから、両国とも友好を深める小道具に使えないか模索したっていいのに。

いろんな作品の土台となっている羅貫中作『三国志演義』は、陳寿による正史や後世の諸説に創作を加えた(ときには史実をねじ曲げたりもしている)フィクションです。演義と正史は三国志の基本ですが、どちらも読んだことはありません。
派生した小説や評伝はいくつか読みました。日本人の筆によるものがやはり性に合います。
歴史小説は参考資料1:空想9くらいに飛躍させなきゃつまらない。羅貫中はそのことをじゅうぶん承知していたようです。

最近のでは『諸葛孔明対卑弥呼』(町井登志夫)が楽しめました。ほとんどファンタジー。
酒見賢一の『泣き虫弱虫諸葛孔明』は抱腹絶倒。厚い本なのに退屈しません。
定番吉川三国志は名文だからじっくり再読したいけど、長すぎて・・・。柴錬三国志は昔読んだ記憶があるが忘れた。

三国志ゲームとなると、ファミコン時代には何種類かトライしました。
中で印象に残っているのが『天地を喰らう』。キャラクターデザインは本宮ひろ志です。同名漫画のゲーム化かどうか知りませんが、シンプルなRPGで難易度も低く、私向きだったような。この人の絵柄は好きではないのですが、これに関しては子龍さまがかっこいーし、姜維はカワユイしで、けっこう熱心にやりました。

その後スーファミ、パソコンと移り行き、主に光栄のシミュレーションゲームに熱中しました。
幸いにもそうした愚行はウィンドウズ95までで、それ以降はいかなるゲームにも手を出していません。時間もないし、高度で複雑なゲームは手に余るんです。
いやいや、愚行と決めつけるのは、自分の人生を否定することにつながる。吉川三国志を100回以上読破できるほどの時間を投じたんだもの。

私の遊び方はいささか変わっていて、ゲームクリア(全土制覇)には興味がなく、純粋にいくさ好きなだけ。延々戦い続けて、終盤に近づいたら放棄して一からやり直し、みたいなことを何度も繰り返しました。春秋左氏伝を得ると、これは杜預にあげようと思って温存しておくけど、結局杜預が出てくるまで続かない。

三国志の魅力のひとつは登場人物の多さかもしれません。パソコンゲームでは500人くらい用意されています。
智勇兼備の名将は数あれど、私はなぜか、文聘や張允、申耽、毌丘倹、王基、文欽、司馬昭などぱっとしない系を好んで集めていました。あらま、魏将ばっか。きっと曹操派なのです。
そして全キャラ中、一番好きなのが力押しの龐徳でありました。どこがいいんでしょう。恋は思案の外といいますなあ。
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投稿者:ルノ 22:10 | コメント(0) | トラバ(0) | レトロ
2007年05月20日

ベンハムのコマ

子どものころ、少年雑誌に「白黒なのに色が見える不思議なこま」が載っていました。
さっそく切り抜いて作ってみると、確かに色が見える! これはすごいと興奮したものです。

先日ゆくりなくも『脳のはたらき 知覚と錯覚』(宮本敏夫/ナツメ社)という本を手に取ったところ、それはベンハムのこまというものだと知りました。
さっそくプリントして作ってみる。
軸の長さの調節に自信がなかったけど、ちゃんと回って、おお、やっぱり色が出ました。十数年ぶりの(ん?)感慨にひたったのであります。

回り始めはグレーの同心円が12本見え、回転が鈍くなってぶれだすと、紫、赤、緑か黄色か茶色みたいな感じに数本ずつ分かれてきます。ほんとうにそんな色なのかと目を凝らすと、どうもはっきりしない、というか、色があるのはわかるけど、灰色っぽくて非常にあいまいな色なのです。
右回りと左回りでは色の順序が異なります。人によって見え方はさまざまだとか。

色が見える原理についていまだに決定的な説明はなく、この色を主観色と呼ぶそうです。
虹は光の粒に太陽光線が当たって見えるのでしょう。虹を錯視と呼ぶ人はいないけど、原理としては似たようなものじゃないのかしら。

その本には、ほかにシェリントン円板とフェヒナー円板が併載されていて、全部作って回しましたが、シェリントンとフェヒナーのほうは、何度やっても色が見えず、あきらめました。
色よりもむしろコマ回しのほうに熱中しまして、テーブルやてのひらでクルクル。棒の長さやバランスを変えるとけっこう長く回ることがあるので面白いのです。

主観色だから写真には撮れないそうです。動画にしたらどうだろと、デジカメでトライしたけど、あまりにデータが粗くて全然ダメ。そもそも液晶画面では肉眼とは違う見え方なのですね。しかも液晶では色のないところに色が見えたりするものです。
ではアニメGIFで動かしてみようか・・・これもスピードが足りず失敗。
このような古典的玩具にIT技術は似合わないんだー。

静止状態。上がベンハム。手前左がシェリントン、右はフェヒナー。
独楽

回転状態。左がベンハム、右がシェリントンです。
ベンハムのこまシェリントンのコマ
シェリントンのコマは回ると全体が白っぽい中に2本の黒い線が見え、止まるころにはその2本線の間が銀色に輝くのです。

さて夕食後、またコマ回しを始めたら・・・なんと、昼間は色が出なかったシェリントンとフェヒナーもうっすらと発色してきたではありませんか。
どちらも赤と水色っぽい扇形の組み合わせで、金属的なパステルカラー。なかなかファンタスティックであります。フェヒナーはルーレット盤のような感じ。
どうやら蛍光灯の下でだけ見えるらしいのです。

ベンハムも蛍光灯の下だと、全体に赤と水色がかっていて、自然光とはまた違った趣を味わえます。

どのコマもダウンロードできるページがあるようなので、童心に返りたいかたは試してみませんか。
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投稿者:ルノ 15:48 | コメント(4) | トラバ(0) | レトロ