ポトリ、ポトリ・・・ごくわずかの量です。
タンクの蓋を開けたら、給水管のつなぎ目のようなところから一滴ずつ落ちていました。
トイレの水漏れによくある原因は、フロートバルブの磨耗や破損などですが、この場合ボールタップのパッキンが磨り減ったのかなと思ったのです。ボールタップの修理はかなりたいへんそうなので、とりあえず放置していました。
漏れる水の量が少なく、水道のメーターも動かないくらいなのです。
しかし、絶え間なく水が落ちる音というものは、実に神経に障ります。拷問の手段にも使われると聞いたことさえあります。
止水栓を締めれば応急的に水が止まるとかで、あるときドライバーで回してみたのです。
ところが、これ以上回らないところまで回しても、水は落ち続けています。どうやら止水栓がバカになってる模様。困ったもんだー。
なので、水道の元栓を締めて寝てしまいました。
翌朝元栓を開いたら、タンクの中に水がたまり始めました。水が供給されない間にタンクの水が減っていたのです。
なあんだ。フロートバルブが原因だったのか。
もっとよく調べれば、ちゃんとわかったはずなのに。思い込みっていけませんねえ。
フロートバルブはタンクの底にある丸いゴムの玉。水が流れたあとに栓の役割をはたします。フロート弁、ゴムフロート、フロートゴム玉などとも言います。浮いていないのになぜフロート?
ともあれ、フロートの交換なら私にもできそう。以前触れたら指が真っ黒になったので、相当劣化しているとは感じていたのです。
築20年、たぶん1度も交換されていないのでしょう。
まずはメーカーサイトを見て、商品チェック。
大きさの調べ方など丁寧な説明がありまして、それに従えば我が家に適合するゴムフロートは直径55ミリだと判明。念のため定規を当てて大きさを測りました。
いざ、ホームセンターへ。一番近い店は徒歩15分くらいです。
ところがですね、売り場で商品を手にとったら、突如自信を失ったのです。
メーカー対応の製品は2種ありました。55ミリと65ミリ。むろんうちは55ミリでOKのはず。ちゃんと測ったんだし。
55ミリのパッケージには『隅付型用』と明記されていたのです。隅付型とは一般家庭に多い、三角形のタンクです。
我が家のタンクは長方形。これは『密結型』とか呼ぶらしく、65ミリのパッケージにその絵が描かれていました。
もしかして、測り方を間違えたのかもしれないぞ。ゴムの上にはストッパーという丸い枠のようなものがあって、よく見えなかったし・・・。
致し方ありません。手ぶらで店を出て帰宅し、再度測り直し。
やっぱり55ミリでした。くそー。
また店へ行き、55ミリを買ってきました。いい運動になったと、前向きに捉えようね。
止水栓が効かないので、元栓を止めて交換作業を行いました。水が出ないと、途中で汚れた手を洗えないことに気づきましたが、いちおうスムーズにできました。
水漏れはピタリと止まり、心安らぐ日々(?)が戻ったのであります。
ちなみに、これが劣化したフロートゴム玉。2度と触りたくないぞう。

さて、この記事はDIYに投稿しましたが、本題はこれからです。なんたって貧盗恋歌だからね(どーゆー意味だ?)。
しっかり下調べをして自信を持って臨んだつもりなのに、些細な横槍でその自信がおっぺしがれることって、日常よく起きませんか?
その横槍というのは、しばしば親・上司・先生など目上の人とか、テレビ・書籍など社会的に権威あるものだったりします。
私の場合、パッケージがその「権威」だったのです。商品説明にウソ書いたら、メーカーは信用失墜するはずじゃないですか。
あれほどはっきりと「55ミリ=隅付型」と書かれていれば、我が家のタンクが例外だなんて思わないものでしょ。それに私はゴムの取替えに初トライするわけだから、下調べで得た自信など、吹けば飛ぶ程度だったのです。
実際の話、世の中には間違ったことを自信満々主張する人々が大勢います。内容がデタラメでも、本人がそうと信じ込み、堂々と主張すれば、傍目にももっともらしく見えるものです。
たとえ間違っているとわかっていても、立場が弱ければ口出しできません。
私なんか、とっても気が弱いから、押しの強い人にかかったらたちまち意気消沈して、自説を引っ込めてしまうことがたびたびあります。相手が目下の若輩者でも同じです。要は世渡り下手。
しかし観点を変えれば、たとえ根拠がなくても、見せかけの自信を持って事に当たれば、主導権を握ることだって可能ということです。
ハムテルはそれで教授を言い負かしたではないか。
そんなわけで、気が弱くていつも損ばかりしていると感じている人は、たまには自信たっぷりのふりをしてみると、人生変わるかもしれませんよ。