2009年08月29日

金メダルは誰のもの

自国の人が国際的に活躍するのは喜ばしいことです。ノーベル賞を受賞したといっては騒ぎ、金メダルを取ったといっては歓声を上げ・・・。
ニュースではイチローが何本ヒットを打ったとか報道するけど、チームが勝ったのか負けたのかわからずじまいってこともあります。

オリンピックでも世界選手権でも、日本人選手がメダルを獲得するたびに、「○○選手が日本にメダルをもたらしました」「これで日本は何個のメダルを獲得しました」みたいな表現をしますよね。
むろん勝った選手から国家がメダルを取り上げるなんて非道は行わず、それどころか褒賞金あげちゃったりすることもあるようです。
日本人選手がメダルを取れば、日本国がメダルを得たことになるのです。

練習中に冷遇されていた選手は内心「メダルを取ったのはオレだ、日本じゃない」とか思ったとしても、それを口にしようものなら総スカン喰うおそれがあるから黙っているのかも。

さて、金メダルを喜ぶにしても、地域によって温度差があるようです。
当該選手の出身都道府県の人は「我が県の誇りです」とか言うだろうし、同じ市町村民は「郷土の誇りです」、同じ学校の後輩は「母校の誇りです」と胸を張ります。
リッパな人と同じ学校出たからって、あなたが偉いわけじゃないし、賞金の一部やメダルのかけらをもらえるのでもないんですよ。いったい何が嬉しいのさ。

そういえばローカルニュースでは、地元の高校やプロ野球チーム、郷土出身力士の成績などを必ず報道しますね。
担当キャスターたちは転勤で回ってくることも多いから必ずしもファンとは限らないのに、地元の人と同じように一喜一憂しなければならず、内心鬱屈してるんじゃないかな。

とまあ、ずいぶん辛らつなことを書きましたが、別に私はこういった傾向をバカにしているのではありません。
私だって、名前も聞いたことのない中国人選手が優勝するよりは、名前も聞いたことのない日本人選手がメダルを獲得するほうが嬉しいし、相撲になんか興味ないのにK皇が勝ち越したと聞いたらちょっとホッとしたりします。まあフツーの人なんです。

私は単純に疑問を抱いているだけなのです。
どうして一般の人は同じ国の人にいいことがあると喜ぶんだろう。そして場所的に近ければ近いほど嬉しさが増すんだろう。

それは「愛国心」なのでしょうか。

愛国心というと、かつて邪道に利用されたせいか妙に拒絶反応を見せる人々もいるようですが、要は拡大された「自己愛」ですよね。
自己愛とは自己保存本能です。生物が生きてゆくのに必須の能力です。

自分個人が快適に生きるには家庭円満にこしたことはないから家族を大切に思うし、収入は多いほうがいいから会社への忠誠心も生まれるし、地域で揉め事に巻き込まれるとやりにくいからご近所と仲良くするし(どれもいちおう理想形ですが)・・・と徐々に広がっていって、国家まで来たら愛国心だ、と。

世界で国家間の紛争が絶えないのは、愛国心でとどまっているからではないでしょうか。もう一ランク上の愛星心となると、異星人が攻めてこない限り問題にならないようです。

ところであなた、お隣の奥さんが宝くじで高額賞金を当てたと聞いたら嬉しいですか?
どこか遠くの見知らぬ人が当てたのなら、そりゃ誰か当たることになってるんだからと平気だけど、近くの知り合いの誰かにそんな幸運が舞い込んだとなると、穏やかな気分ではいられないのが普通ではありませんか。やっかむあまり、ドロボーにでも入られればいいとのろったりするかも。
人の心理というものは実に・・・ですね。
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投稿者:ルノ 23:43 | コメント(0) | トラバ(0) | 世相=世間相場?
2009年06月23日

女の子の名前

奥田英朗によれば、子どもの名前をつけることは生涯に1、2度しか巡ってこない『自己表現のチャンス』だとか。自己です、自己。親が自分自身をアピールする舞台が我が子の名前なのです。
そりゃもう、ブログみたいにさっと消え去るものと違い、子どもが生きている限り続くわけですからね、けっこう重みありますよ。
ここぞとばかりにスゴイ名前をつけたい気持ちもわからなくはないなあ。時として子どもは被害者になっちゃったりしますが。

名前って実に時代を反映するものであります。そしてそれは我が国特有の現象に見えます。
西欧では何千年も代わり映えしない聖人の名前とか伝統的なものが主体であり、自力で創造することはめったにないようです。

ちょっと前の日本人はわりと命名に無頓着でした。長男が太郎で次男は次郎。あるいは長男は一男、三男は三男。
家族計画なんてのもいいかげんで、もう打ち止めにしようと思ったら、スエ子とか〆男とか? 私にもトメ伯母さんがいます。叔母じゃなくて伯母ってことは・・・へえ、その下にも続々と。
現天皇ご成婚の際は美智子ちゃんが大量生産されたようです。

名前の流行りすたりに加えて、人名用漢字はコロコロ変遷してきました。おかげで名前を聞けばある程度トシがわかるというやばい事態に・・・。
とりわけ女性は名前の最後に「子」がつくかつかないかが判断材料になりそうです。ちなみに私の同級生は過半数が子持ちでした。あうう、自らばらしよる。私の母の世代は少なめだったようです。

新聞や雑誌では我が子を写真つきで紹介する投稿コラムが人気のようです。治安のよい我が国では、そうした情報公開が犯罪につながることはまれですし。
その特集版が新聞の折込に入っていたことがありました。乳幼児の顔写真と名前に親(99%母親)の名前とひとことをつけて並べたもの。記念になるからつい応募するんでしょうね。

ちびっこ写真

この地方版には500人を超える子どもが載っています。その半分が女児として、ぱらっと数えたら「○子」「○○子」が9人いました。まだ絶滅してなかったんですねえ。哩璃子とか苺子みたいに、いくぶんか現代的だけど。
かたやコメントを寄せた母親は多くが30代と思われますが、子のつく名前は1/3程度。子が疎んじられ始めた世代ってところでしょうか。

上で述べたように、命名は自己表現のチャンスです。わずか2〜3文字のうち1字を「子」に占領されたら、表現の幅が狭まります。子が嫌われるのもちょっと納得です。

めいっぱい好きな字を使えることはハッピーとしても、「虹々南」「夢可愛」のような難読名は子どもも苦労するかもしれません。
国が人名漢字を制限したことは、歯止めとしては評価しますが、読み方が自由だなんて野放図すぎます。
むかーし筒井康隆を読んでいたら、ラリオという男が出てきました。薬夫だか薬男だか、まあそんな字でした。ヤクでラりるってとこから来たんだろうが、たいしたセンスだと感嘆したものです。
芥川龍之介は自分がしょっちゅう「たつのすけ」と呼ばれたうらみから、子どもたちには決して読み間違えられない名前をと工夫したと聞きました。ヤスンシくんとは呼ばれなかったのかな。

字面がきれいで、読みやすく、響きがよく、しかもありきたりでない名前を考えるのは至難の技です。
最近の親は個性を優先する傾向がありますが、ずいぶん変わった名前をつけたつもりが、同名人物に遭遇したとなると、平凡な名前のときよりもヤな気分じゃありませんか。子どもの将来も慮ってよくよく考えましょう。

さて、ヤングペアレントの皆さん。女の子の名前は男の子に比べてバリエーションが豊かで、なおも開発途上です。

ユニークな名前にしたければ、文字数にこだわってみませんか。
男の子には「りゅうざぶろう」みたいな長い名前が珍しくないのに、なぜか女の子の読みは3文字止まり。4文字はちらほら、5文字となるとまず見かけません。
村上春樹かぶれの連中がすでに空豆や緑豆などと名づけ始めたかもしれないが、これからのトレンドは長い名前です。
文字数が多いと表現の多様性も広がります。男の子はほとんど漢字に偏っているのに、女の子にはカタカナ・ひらがなという助っ人もいます。

それとパ行の活用(性別には無関係みたいですが、パ行の漢字はないのでやはり女の子向け)。
パズル系ミステリ作家高田崇史のキャラクターぴいくんの本名は「パズル」だと推理した小説家がいました(その後撃沈?)。漫画家ますむらひろしはP音愛好者らしく、葉鈴(ぱりん)ちゃんとか辺太(ぺんた)くんとか、いろいろこじつけています。
イニシャルPは日本人には珍しいから、存在感を示すのにもってこいです。
「巴里絵羅ポ」「ぷまのん蝶」などは絶対に模倣者は現れませんって。それが人の名前か。

参考文献:
赤ちゃんに最高の名前をつける本 2009-2010
たまひよ女の子赤ちゃんのしあわせ名前事典
試験に出るパズル(高田崇史)

モバイルのかたはこちらのほうがわかりやすいでしょう。
赤ちゃんに最高の名前をつける本 2009-2010
たまひよ赤ちゃんのしあわせ名前事典〈2010~2011年版〉

付記:
「パ行の漢字はない」と書きましたが、よく見たら、辞書に「椪」という字が載っています。さて、読み方は?
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投稿者:ルノ 20:26 | コメント(0) | トラバ(0) | 世相=世間相場?
2009年01月19日

他人の歯ブラシ

歯ブラシを他人と共有して平気な人はあまりいないと思います。
タオルや箸などに無頓着な人でも、歯ブラシの使い回しだけはごめんだと言うに決まってます。
どうして嫌なのでしょうか。

赤瀬川原平によれば、『粘膜と外皮の差』だとか。
タオルなら外皮だから大丈夫だけど、歯ブラシは口中の粘膜に触れるから許せないのだと。

えっ、そんなもんかいな。
粘膜の接触を辞さない夫婦や恋人間だって、最低限、歯ブラシは分けたいのが普通の心理ですよね。

はっきり言って、歯ブラシは汚いものです。
歯磨きのあと水ですすいだ程度では、毛の間にはさまったペーストや食べかすは完全に落ちていません。固形物をきれいに洗い流しても、細菌だらけです。ぬれたまま放置すると、次に使うまでに菌の数は爆発的に増えているはずです。
それは他人の歯ブラシも自分の歯ブラシも同じこと。自分のが人のより清潔なわけじゃないでしょうもん、一般的に。

ならば徹底的に消毒すればオッケーなのか。漂白液に浸し、アルコールを吹きつけ、熱湯をかけ、日光で乾燥させる。
・・・やっぱり嫌ですよねー。完全滅菌したパパの歯ブラシよりも、バイ菌うようよの自分の歯ブラシのほうが安心できると思いません?

きっと歯ブラシには、単に衛生観念では割り切れない、何かまがまがしくも頑なな所有意識がつきまとっているのです。

だけど自分の歯ブラシだって躊躇するときがあります。歯磨きの途中、口の中が泡だらけになったり持ち替えたりして一旦出したら、その生ぬるいままの歯ブラシを歯茎に当てるのは気持ち悪いじゃありませんか。

このごろはタオルや食器、スリッパなども家族と共同使用したがらない人が増えています。
手を拭くタオルならいいけど、顔を拭くタオルは断固別にするという人もいます。その手で顔を触るくせにさ。
私は実家に帰ると、トイレの温水洗浄は使いません。箸は塗りかプラスティックなら洗えば平気。
どれもこれも気分の問題なのです。

先日図書館に行きましたら、素足にサンダル履きの、見るからに不潔っぽい人が椅子に座って本を読んでいました。片足を膝にのせて、その真っ黒な足指を手でもみもみしながらページをめくってるんですよ。うへえ。どうか本の好みが同じでありませんようにと祈ったのでした。
しかし。見た目だけで判断しちゃいけません。
小奇麗なカッコしてても、はなをすすってぬれた指で本に触ってる人だっているんだ、全くもう。
タダで本を借りる以上、多少のことは覚悟しておかなきゃとは思うんですけどね。

確かに気にし始めたらきりがありません。
本屋でもスーパーでもデパートでも、私たちは誰がどんな手で触ったか知れないものを、選び、買っているわけです。
焼きたてパン屋さんでは、むき出しのパンが並んだ棚のそばで咳をする客もいます。
ブティックで倉庫からまっさらの新品を出してきてもらったとしても、そのパッケージにはすでに店員さんほか相当数の人の指紋が残っておりましょう。

普通程度に健康な人間なら、ちょっとやそっと汚い目に遭ったって、病気になることはまずありません。
わかっちゃいるけど、気分ってものは理屈よりも強いんですよね。
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投稿者:ルノ 23:53 | コメント(7) | トラバ(0) | 世相=世間相場?